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テレビ・メディアとの上手なつきあい方 ルールを決めよう! 見ない日を作ろう!

ルールを決めよう! 見ない日を作ろう!

テレビ・メディアとの上手なつきあい方

記事提供:miku

家で過ごすとき、テレビやDVDをつけっぱなしにしていませんか?幼いうちからメディアとの接触が多いと、心身の発達へのマイナスの影響が心配です。
メディアに頼りすぎないためには、どうしたらいいのでしょうか。

子どもとメディアとの関係に詳しいNPO子どもとメディア代表の清川輝基先生と小児科医の内海裕美先生にお話を伺いました。

 

清川輝基先生
NPO子どもとメディア代表理事、チャイルドライン支援センター代表理事などを歴任。NHKの社会報道番組ディレクタ−当時、「警告!子どもの体は蝕まれている!」などを制作。“子どもとメディアの上手な関わり方”を提言。著作は『「メディア漬け」で壊れる子どもたち』内海先生と共著(少年写真新聞社)ほか。

内海裕美先生
医学博士、日本小児科学会認定医。日本小児科医会「子どもとメディア」対策委員会担当常任理事、吉村小児科(文京区)院長。地域で子育て支援セミナーの開催、子育て相談、ブックトーク、絵本の読み聞かせなどを行い、子育て支援に力を注いでいる。著作は『はじめよう臨床医にできる子育てサポート21』(医学書院)ほか。

メディアに囲まれている環境で子どもにもメディア漬けが始まる

テレビをはじめとするメディアに子どもが触れる機会は、年々、早期化、長時間化の傾向にあります。今は、テレビやDVDプレイヤー、電子ゲーム機などはもちろん、パソコンもある家庭が増えています。帰宅すると無意識にテレビのスイッチを入れる生活をしていたり、テレビゲームやネットサーフィンに夢中になり、ついつい時間を浪費してしまっているという方も、少なくないのではないでしょうか。

このような環境の中、子どもたちは産まれながらにして、たくさんのメディアに囲まれて生活しています。親がテレビやメディアに向かう機会と時間が多いと、子どももその生活が日常になってしまっています。

多くのパパやママは、子どもの頃からテレビやビデオに慣れ親しみ、電子ゲームやパソコンにもほとんど抵抗がない世代。子どもと過ごす日中、テレビをつけっぱなしにしていたり、子どもを外遊びに連れ出すよりも、喜んで見るからとDVDを見せて家で過ごしていたりしないでしょうか。

 

また、パパの帰りが遅かったり他の人に育児に手助けしてもらえず、子どもと一日どう過ごしていいかわからないママが、長時間テレビ番組やDVDを見せて時間を紛らわせている状況もあるでしょう。

心身の豊かな成長のためメディアの接触はひかえよう

家族でいても、テレビを見ていると、画面に集中して会話が減ってしまうもの。
赤ちゃんや子どもと過ごすママも、テレビをつけていることでお世話の言葉がけや会話が減ってしまうこともあります。

 

赤ちゃんは、生まれた時からママや周囲の人がお世話をし、声をかけてくれる、そのやりとりや関わりの中で人への信頼感や愛着を形成し、コミュニケーションの基本を知り、言葉を覚えていきます。目と目で見つめあうアイコンタクトや愛情あふれる声の呼びかけは、赤ちゃんにとって、情緒や感性、言葉の発達、コミュニケーション力の形成という面でとても大切です。でも、授乳中にテレビを見たり、遊びの途中でメールを打ったりしていたら、せっかくのコミュニケーションが稀薄になってしまうでしょう。

また、メディアにふれる時間が長いほど、外遊びが少なくなる傾向があります。テレビやパソコンの画面で花や鳥を見ることもできますが、それはあくまでもメディアを通した虚像でしかありません。太陽の温もりや風を感じたり、陽の光によって花びらや葉っぱの色が輝いて見えたり、鳥の鳴き声を聞いたり、葉のざわめきを感じたりする経験は、外に出ないとできないもの。このような経験を積むことが、子どもの五感を豊かに育んでくれるのです。

テレビを通して見る自然からは、そのような体験は得られませんし、感じる力は養われないでしょう。テレビを長時間見ていることで、貴重な体験の機会が減ってしまったり、外遊びの時間が奪われて、運動能力や体力の低下という面にも影響が及ぶことも心配です。

テレビに触れる時間を減らすなどできることからチャレンジを

子どもの発達と成長には、睡眠・食事・遊び・愛されている実感が不可欠。毎日の生活の中で、早寝早起きをし、家族で和やかに食卓を囲み、身体を使って遊んだり、愛情のこもった抱っこをし、言葉のやりとりを重ねることが、子どもの成長には欠かせません。

メディアに触れる時間が長くなることで、生活のリズムが崩れたり、外遊びが少なくなるなど、子どもの成長に大切な要素を子どもに与える機会が奪われています。親や周囲の大人たちが、意識や習慣を変えることが大切です。

 

まずは、テレビを見る時間を減らす努力をしてみましょう。授乳中や食事中はテレビを消す、見たい番組だけを選んで見る、時間を決めて子どもに見せる、などできることから実践を。

早寝早起きし、食事の時間を整え、外遊び、買い物など、1日のタイムスケジュールを組み直し、1日をていねいに過ごす心がけも大切です。

テレビから一方的に流される情報は、子どもにも影響を与えています。見る時間が長くなるほど、「流れてくる情報は正しいもの」と信じて受け入れてしまいがちです。得た情報を鵜呑みにするのではなく、疑いを持ってみたり、自分なりの価値観や考えを元に読み解くようにしたいものです。テレビを見るときは、親が一緒に見るようにして、「こういうことをすると、相手が悲しむよね」など、情報に対して親の考えを述べたり、親子で話し合うことも必要です。親自身、テレビ番組やDVDを見せる場合は、子どもに与えるべきものかを考え、選ぶように心がけることが大切。そうすることで、主体的にメディアに関わる姿勢を育てます。

「テレビを見ない」を習慣にして子どもと家事を楽しもう

ぐずる子どもに対して、テレビを電子ベビーシッター代わりにしてしまっているケースは少なくありません。家事が進まないママには、頭の痛いことでしょう。でも「見せない」と決めたら、おんぶしてキッチンに立つ、目の届くところで声をかけながら遊ばせるなど、テレビに頼らない策を講じることが大切です。

 
2歳を過ぎるころには、子どもは親がすることを真似るようになり、ママのお手伝いもしたがるようになります。日常生活の中で「お手伝いができた」という体験を幼い頃から積み重ねていくことは、達成感や自己肯定感につながり、子どもの成長にとって大切なもの。 

多少手間がかかっても、「自分でやってみたい」という好奇心や関心を満たしてあげるよう、できることをさせてみましょう。

 

誰からのサポートもなく、一人で子育てをしているママは、メディアへの依存度が高くなる傾向にあります。毎日の買い物や散歩、公園・児童館遊びを日課にし、孤独な子育てから抜け出す努力をしてみましょう。保健所の保健師さんや子育て支援課の窓口など、地域の子育て支援拠点も上手に利用するといいですね。

 

「子どもとメディア」の問題に対する5つの提言

取材・文/中野洋子 イラスト/犬塚円香

※記事内容は、育児情報誌miku20号(2010年春号)に掲載のものです。

 

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