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安全を選び行動する感性と知恵を大切に 赤ちゃんと家族を守る、わが家の防災!

安全を選び行動する感性と知恵を大切に

赤ちゃんと家族を守る、わが家の防災!

記事提供:miku

乳幼児がいる家庭では、地震や災害に備えて、どのような対策をしておいたらいいのでしょうか?
万一の時に対する心構えや備えておくと便利なもの、より安全な行動を選び取る力などについて、アウトドア防災ガイドのあんどうりすさんにお聞きしました。

あんどうりすさん
阪神大震災被災体験とアウトドアの知識を生かし、2003年より全国で講演活動を展開。毎日のカバンを防災仕様にというアイデアをいちはやく提案。とりわけ子育てグッズと防災グッズをイコールにするアウトドア流の実践的な内容が好評。楽しくてすぐに実践したくなる、毎日 の生活を充実させるヒントがたくさんあると親達の口コミで全国に広まり、毎年の講演回数は100回以上。

防災対策は、家具の固定と安全な場所の確認から

防災対策というと、水や非常食を常備したり、持出袋を備えることが真っ先にイメージされるのでは? もちろんそれも大事ですが、まずしなければならないのは、自宅の倒壊を防ぐ対策と安全の確認です。 家が無事なら避難所にいかずにすみ、都市部では、避難所の数が足りないため自宅にとどまることが推奨されています。
 
大地震によって亡くなった方の多くは、倒壊した家屋や家具の下敷きになったことが原因です。マンションなど高層階は、家具が部屋の中を走り回ることが想定されています。ちいさな子は背の低い家具も凶器になるので、すべての家具の固定を考えてください。冷蔵庫も動いています。賃貸公営物件でも家具の固定ができるように変わってきています。
 
キッチンは、食器類や瓶など、割れる物が多く、地震の際には最も危険です。最近のコンロは揺れると消火する機能がついているので、別の場所からわざわざ火を消しに行かないこと。子どもが後追いしたら、なおさら危険です。揺れている最中は、とても動ける状態ではありません。普段から家の中で安全になる場所を増やしておくことで、パニックにならずに素早く移動できます。寝ている部屋は無防備になるので、家具を置かない部屋をめざしてください。

 

 

地域の危険箇所を確認し被災時のシミュレーションを

地震の発生が子どもと外出中の場合も想定して、いつもの散歩コースや児童館、公園、スーパーなどで、危険な場所や避難ルートをチェックしておきましょう。災害発生時は連絡がとりにくくなるため、家族で集合場所を決めておくか、災害時の連絡をとり方をいくつか決めておくことが重要です。
 
戸外で揺れた場合、ブロック塀、家屋の屋根瓦、マンションのベランダからの植木鉢など、落下物が意外に危険。自治体のハザードマップにはそれらの場所は書き込まれていないので、こどもと一緒に歩く道にどのような危険があるか、お散歩の時に確かめてみましょう。

 

だんごむしより大切なこと

だんごむしのポーズは子どもたちも大好き。でも、ブロック塀や割れるガラスの近くでポーズを決めても危険になります。まず、上をみて落ちてくるものがない場所、横をみて倒れたり、飛んでくるものがない場所に移動します。その上で頭を守る必要があれば机の下に潜ったり、椅子をかぶるなど、頭を守りましょう。だんごむしはあくまでそこが安全な場所であることが前提です。

 

※1「災害用伝言ダイヤル」
「171+1+被災者の電話番号」で伝言を録音。「171+2+被災者の電話番号」で伝言を再生。
優先回線ですが、必ず使えるとは限りません。みながSNSをまず使おうとする中、優先回線をまず試すと繋がるかもしれないというメリットがあります。その他、家族の居場所が常にわかるアプリや災害時連絡をとるための専用アプリが役立ちます。

 

※2「緊急地震速報」
気象庁が震源近くで地震をキャッチし、最大震度が5弱以上と推定した地震で、震度4以上が予測される地域に対し、強い揺れが始まる数秒〜数十秒前に速報が配信されるしくみ。ただし、地震が直下で起こる場合は、緊急地震速報は地震の後から鳴る場合があります。

 

常時、持ち歩こう! 携帯用防災グッズ

軽い&かさばらない&用途が多様なものが便利です。
 

LEDライト
停電時には、電池が長持ちするLEDライトが重宝。バッグにはキーホルダータイプをつけ、自宅保管用にはヘッドライト型を。おでこに付けると両手が使えます。

 

ホイッスル
万が一、倒壊物の下敷きになった際、早く助けを呼ぶために必要。軽い息で吹いても大きな音が出るもの、内部に玉が入っていないタイプがおすすめ。

 

災害用携帯トイレ
災害後、生き残ったら4時間以内に困るのはトイレです。トイレだけはガマンできません。携帯用トイレを数個もっていてください。トイレにかぶせて使えるタイプや検尿コップタイプがあります。ビニール袋に生理用品やおむつ(使用済みでもまだ吸えるものなら使えます)をいれて、そこに用を足すこともできます。自宅で用を足したとしても、今は地震の後はトイレの水を流さない方がいいが正解です。配管が壊れてあふれたというケースがマンションでも一戸建てでもあり、衛生状態が悪くなるので、災害用トイレを設置します。

 

これがあると便利! 育児グッズ=防災グッズ

防災時に使えるものを、育児グッズとして普段から利用する発想を。
 

アウトドア用座布団
コンパクトでクッション性があり、おむつ替えシートとしても使える。お尻の冷えを防いでくれるので、長時間座る時も便利。

 

防水バック
汚物入れや水着入れに使えます。豪雨の際、濡らしたくないものを入れる袋としても活躍します。防水バックに空気を入れ上部をロールして、バックルで止めれば簡易浮き具に。また、バックの中でお洗濯をしたり、バケツがわりにといろいろ使えます。

 

アウトドア用レインウェア
レインウエア透湿防水素材は、雨や風が防げて蒸れず、撥水加工のウエアより耐水圧がある。普段の雨具やスキーウエアとして重宝。

 

合体ママコート
子ども用コートとママ用コートをジッパーで合体(ジッパーの規格が同じなら可能)すれば、寒さを防げる機能的なママコートになります。

 

 

災害時でも今までどおり親子が大切にされることが重要

乳幼児ミルクをあげている方
粉ミルクは70度以上で調乳することで細菌を死滅させることができます。
容器をあらって消毒することが難しいので、使い捨て哺乳瓶や紙コップが役立ちます。
調乳後の粉ミルクも液体ミルクも口をつけたものは、破棄します。つけていなくても開封したものは、2時間以内に破棄します。
液体ミルクは常温保存が可能ですが、35度以上が続く夏場は、常温の想定を超えるため、保冷バックで冷やすなど保管に工夫が必要です。

 

母乳をあげている方
母乳には免疫成分が含まれているので、災害時赤ちゃんを感染症から守ることができます。
欲しがるだけあげることが大切です。
ストレスを感じて一時的に母乳がでにくくなったと感じても大丈夫。不安になったらおしっことうんちの回数を数え、いつもと同じであれば、赤ちゃんがちゃんと飲めています。授乳しやすい場所を確保してもらうことや食事を多めにもらうことはわがままではありません。

どのような栄養を与えている人でも、今まで通り、親子が大切にされることが重要です。

 

 

普段のママバッグにプラスαで非常持ち出しバッグになる

日頃、外出する際の荷物には、おむつや着替え、ミルク、おやつなど、子どものお世話に必要なものが入っているでしょう。これに災害時に役立つグッズをプラスすれば、”毎日持ち歩けるMY防災バッグ”として十分機能します。
 
必携したい防災グッズとして、自分の居場所を人に知らせるためのホイッスル、停電時に必要で長持ちするLEDライト、荷物に追加するといいでしょう(コラム参照)。
 
緊急地震速報の受信によってほんの数秒でも事前に地震が来るとわかれば、助かる確率が高まります。設定した地域や震度の地震をお知らせしてくれるアプリや雨雲アラームなど、防災速報全般を今いる位置情報を使ってメッセージしてくれるアプリがあります。地震だけではなく、豪雨からの素早い避難も重要視されている昨今なので、アプリはいれておいてください。ただ、災害時はあっという間に充電が切れます。充電器が必要ですが、以前購入された手回し充電器はスマホの容量が大きくなったため使えなくなっている可能性もあります。クルマや電動自転車から充電できるものもあります。

自然の中の遊びを通して感性や生きぬく力が養われる

言葉が理解できる幼児には、災害時にどう動いたら安全かを教えてあげましょう。例えば、「緊急地震速報は、命を守ってくれる音だから一緒にもっと素敵な名前をつけて呼んでみようか?」と、会話して、ニックネームをつけることで怖いというより、守ってくれる音という印象を親子でインプットしあいます。
 
災害時は予測不能な事態が起こりうるもの。瞬時に複雑な状況判断をし、危険を回避することが求められます。頼りになるのは自分自身であり、安全を選び取る感性や経験から生まれる知恵です。
 
キャンプで野外生活を体験したり、でこぼこ道を歩いたり、親子一緒に木登りや川遊びなどをして、小さなリスクを冒してみる経験を通して、命に関わる危険を察知する感性が養われていきます。自然の中で遊びを考えたり、必要最低限の道具を工夫して利用するなどが、災害時に危険を乗り切る力、生きぬく力につながります。

取材協力:江東自主保育の会「どろんこ」 撮影/福田依子 取材・文/中野洋子

 

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