東麓石窟仏 〜小林市〜(宮崎県小林市)

国道268号線の下に、神様が鎮座されておられたとは…

大型トラックも常に行き交う国道なので、毎日騒がしい思いをされてきたことと思われますが、地元の方々からは「岩ん堂薬師さま」と呼ばれ、病気の平癒を願われ親しまれてきました。

(薬師三尊)
岩窟中央の薬師如来は、衲衣(のうえ、僧衣)を着け、両手を重ねて薬壺を持ち、蓮花の台座にお座りになっておられます。
その左右に「日光菩薩さま・月光菩薩さま」が半裸に条帛(じょうはく)を掛け、それぞれの手に日輪と月輪をお持ちになっておられます。

(十二神将)
薬師三尊のそれぞれ左右に六体ずつ十二神将が配されており、頭は「焔髪(ふんはつ、髪が逆立っている様子)」と甲(かぶと)を着け、仏は鎧を着け、それぞれ太刀・弓矢・鉾・斧をお持ちになり立っておられます。

制作年代は定かではありませんが、中尊の頭や薬壺をお持ちになられているお姿から鎌倉時代後期のものと言われています。
薬師三尊と十二神将を合祭した仏像は珍しく、しかも、政策当初のお姿を殆どそのまま今日に伝えていることは、大変価値のあるものです。
大分県下では、石仏は多く見られるが、宮崎県下では大変珍しく、当地の文化的意義として大変高いものであります。