南薩摩一の大楠と千本楠(鹿児島県日置市吹上町)

吹上地区宮内地区の、大汝牟遅(おおなむち)神社の参道の東側に「千本楠」と呼ばれる大楠の森があります。大楠は各地で見られますが、1か所に十数本の大楠が集中しているのは珍しいことです。特徴的なのは、地を這うように横へ伸びる巨大な枝が多い事です。その様子は実に見事なもので、一見の価値があります。伝説によると、大汝牟遅(おおなむち)神社の祭神の大汝牟遅命(おおなむちのみこと)が伊作の地に来られたときに、楠の杖を地面に刺したところ、これが根付いて親木になったとされています。その親木は幹の周りが18m余りもある大木でしたが、風も無い夜に大音響とともに倒れたと伝えられています。くちた根もとの一部が今も残っていて、かつての大きさを偲ばせています。明治43(1910)年の博覧会に出品した楠の切株を調べたところ、樹齢800年以上と推定されたそうです。