米国元副大統領アル=ゴア氏の著書と、これまで彼が行ってきた地球温暖化についてのセミナーを、世界各地で起きている現象の映像を交えて映画化したこのドキュメンタリー。温暖化現象のさまざまな検証データや自然からの警告を映像とプレゼンで示す、説得力ある映画です。環境・エネルギー問題にかかわっている者にとってはなじみのあるデータではありますが、ゴアさんのわかりやすい語り口や姿勢に学ぶところが大です。大気中の二酸化炭素濃度の急激な上昇を強調するために工事現場のクレーンを使ったり、昔からおなじみの「ゆでガエル」の挿話にもちゃんとオチが用意されていて、ユーモアもたっぷりです。
世界的に賞賛の声が多い映画ですが、米国内では一部の「不都合な」向きからの反発もみられるのは残念なことです。「これは政治の問題ではなくモラルの問題だ」とゴア氏は言っています。身近な怖い話、誰もが知るべき事実。それをいかに多くの人に伝え、いかに多くの人々の行動につなげていくか、語り部の技術や魅力って大事だなあと勉強になりました。