長崎県が今年3月に発行した「暮らしの情報 (No.275)」によると、消費生活センターに40代の男性からこんな相談が寄せられています。
オール電化への関心や人気が高まっている中、オール電化機器販売に関するトラブルや相談も増えつつあるようです。この相談者の方はとても払いきれないと判断し、クーリング・オフ(下記参照)の手続きをされたそうです。
前回のエッセイにも書きましたが、自分の欲しい、あるいは必要な理由を、「老後の安心安全」「光熱費の節約のため」「家事の軽減」など、自分の生活課題を整理すること、希望の暮らしや家計状況に合わせたプランを明確にしておくことの他に、機器や価格の情報を「自分で」あつめることも大切。このような消費者の姿勢が、悪徳業者のトラブルを遠ざけるのです。
<上記のような悪徳訪問販売業者から身を守るには・・・林からのアドバイス>
●「応募してもいないのに抽選にあたる」という商法は海外宝くじ商法をはじめ、消費者をその気にさせるためによく使われる手口です。アンケート調査→抽選券渡し→当選通知とステップを踏んで巧妙に仕掛けています。「ラッキー」と思わずに、「タダより高いものはない」と気を引き締めましょう。
●電気給湯器とIHクッキングヒーターで工事費を含めて173万円というのは、林個人は「高すぎる」と思います。ただ、販売業者によって割引率や工事費が違っており、たとえ同じ業者でも家の構造により電気工事費が異なってくるため、九電も「オール電化の一般的な費用はこれ位ですよ」と公示することができません。今は多くの家電店や工務店がオール電化機器販売や取り付け工事を取り扱っていますので、価格や工事費や値引きなどについて2、3店舗に問い合わせて比較してみることが賢いやり方です。
●この業者の言う「6人家族で光熱費が年間12万円節約できる。(だから月々1万円の支払いが可能と説得したのでしょう)」は、どのような試算条件なのか確認が必要です。九電のオール電化パンフレットによると、年間の光熱費削減額は、モデルケースで、給湯器が電気温水器なら年間約8万円、エコキュートで年間10万円となっています。林の知る限り、どのケースでも光熱費は採用前に比べ安くなっていますが、どれくらいの割合で削減できるかは世帯やその後の使用状況によって違っています。あまりに断定的な説明は鵜呑みにせず、契約するにしても、九電の営業所やイリスに事実を確認したり、光熱費シミュレーションを依頼して確認されてからでも遅くはありません。
●訪問販売という形態で契約した場合、「クーリング・オフ」という救済制度があります。クーリング・オフは元々「頭を冷やす」という意味。契約日を含めて8日以内であれば消費者から一方的かつ無条件に契約を取り消すことができます。もし訪販業者が事実を誤認させるような説明をしたり、事実を故意に告げなかったり、契約書面に少しでも不備があったりした場合などは、8日を過ぎていてもクーリング・オフは可能です。県や市町村の消費生活センターへ相談すれば、その方法も含めて指南してくれます。契約してしまっても絶対にあきらめないで!