県庁で13時半からの会議に出席する日、いつもはバスと電車を乗り継いでいたのですが、ちょうど来たバスがあり、「これ遠回りだけど、県庁直行だし、時間もたっぷりあるし。」と乗りこみ、安心しきって本を読みふけっていたら・・・突然、港近くの工場地帯で、「お客さん、終点です。」通常は県庁行き、でも昼間は途中のバス停どまり!痛恨のミス。
車も人も通らない道端のバス停で降ろされ、タクシー会社に電話をすると、「最低でも15分はお待ちいただきます。」と、2社ともに言われました。再び最初のタクシー会社に電話して、「遅刻覚悟で待ちます」と配車を頼みました。
折しも雨が降り出してきました。風も強まって・・・。「間に合わないかも。」とすっかり青ざめてたたずんでいると・・・ふいに一台のタクシーがすーっと現れ、停まってくれました。・・・ネコバスか?
なぜか自動ドアでない、そのタクシー。乗り心地はとてもよく、「県庁には、13時5分ごろ到着の予定です。お呼びになった車は、私がキャンセルします。」運転手さんの対応は一流ホテルマンのよう。
話が弾んだ運転手さん、県庁が近づいて、「この車はここで燃料を入れるのです。」 「え?県庁で燃料ってことは・・・」「水素タクシーです。県に一台しか(※注)ありません。」「まあ!気づかなかった!実はこれから、エネルギーの会議なのです。水素も推進しているから、お話したら皆さん喜びます!もちろん、一番喜んでいるのは私です!」
偶然で不思議な出会い、まるでネコバスみたい。
降りてドアを開けてくださった運転手さんに、心からお礼を言いました。
※注 究極のエコカーと呼ばれる水素タクシー、福岡県では全国に先駆け2015年に5台導入されました。5社5台だから、運転手さんにとっては県に一台なのですね。
写真:心細さが一転、余裕で間に合った車寄せにて。
(2019@林 真実)