私の通っていた熊本の小学校には「うさぎ狩り」の伝統行事がありました。学校のうさぎ小屋にはそれはそれは可愛いうさぎたちがいて飼育当番になるのが楽しみでしたが、うさぎ狩りのうさぎは畑を荒らす害獣なんだと説明されました。
極寒の早朝、畑の三方を、おしゃべりをガマンした子どもたちが静かに取り囲みます。音楽の先生のラッパの合図で、一斉にわあーっと声をあげ、「チョーイ、チョイ、チョイ・・・」と竹の棒で地面や木々をたたきながら兎を網に追い込みます。日ごろの訓練どおりラッパのメロディで突撃したり、追うのをやめたりして、最終的には猟師さんが鉄砲でとどめを打って(おそらく;この現場をみていないので)、棒に四足をくくられた獲物が高々と掲げられると、子どもたちは「エイ、エイ、オー!」と勝どきの声を上げるのでした・・・。
友人たちに野蛮人呼ばわりされるこの話をなぜしたのかというと、機能性下着や使い捨てカイロもなかった頃の極寒の季節の行事で、子ども同士の話題が「いかに寒さ対策をしてきたか」だったから。おじいちゃんに持たされたビロード張りのカイロを大切そうに見せてくれる子、手袋や靴下を「2枚はめてきた〜」という子、「靴下に唐辛子がはいっとるとよ」という子なんかもいました。
時代がめぐり節電の今、「唐辛子はガーゼにくるんで靴下に」と先日テレビで言っていました。世につれ人につれのあったかグッズ。うさぎ狩りが今も続いているとしたら、子どもたちはどんな会話をしているのでしょう。